山の手入れ–雨水浸透を促進する

急斜面につくった階段としがら(設樂)

天神山の西側は一部乾燥が激しい。林冠は照葉樹が覆い、林床に水が足らない。このところ雨が少ないのでなおさらである。強い雨が降っても、急な斜面では、林床の落葉の上を水がすべり、浸透していかない。そこで、斜面を段切りし、垂直・水平をつくっていく。この効果は存外に大きい。水平面には葉が溜まり土が流れず、雨水が浸透する。垂直面は横から空気が入り根の呼吸が増す。

段切りすると土を置く場所が必要になる。そこで、杭を打ち、ぼさ置きをして大きめのしがら(設樂)をつくる。しがらはしがらみ(枝絡み)の語源になっているほど、昔からなされてきた山の施業である。ここはやがて朽ちて土になり、木が育つための大事な林床になる。何もしなくても実生がそこから生えてくる。

今回、この雨水浸透促進の施業を専門学校の生徒をインターンとして受入れ、樹木医として指導しながら、作業をおこなった。山が荒れる原因はいろいろあるが、昔からやってきた簡単なことを忘れてしまったために荒れたことは否めない。少しづつ伝えていきたい。

樹木医三十の会所属。管理人。松戸市在住。羽黒古修験道山伏先達。

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